Saturday, July 20, 2024

反核平和論争

武田龍夫先生の「白夜の国々」を読み終えたところですが、スウェーデン人、ジャンミュルダールの引用があったので長いですが残しておきたいと思います。彼の全体的な主張には賛同していませんが、この内容は引用しておくべきだと思いました。

「アフガニスタンに対するソ連よりも、中米に対する米国の方がより強く非難されているが、疑いなくソ連の方がより悪いのである。しかし米国に対する非難のみが拡大されている。米ソは共に世界の覇権を争っているのであり、ソ連は挑戦し、米国は防戦するのである。サラエボの一発がどこで起こっても不思議ではないのだ。そしてハンブルク、広島の何倍も何十倍もの破壊が起こり得るのである。私は社会主義者であるが、しかしそれも国の独立が保障される限りにおいてである。降伏が最善の方法であり、十年二十年でソ連の世界制覇も崩壊する、と考えるわけにはゆかないのだ。現在の反核運動は平和のために寄与していないし、支持、尊敬も出来ない。核兵器ヒステリーの中で、彼らは爆弾というものは使用しない限り危険ではないということを忘れているようだ。しかも彼らは危険は全て自国政府と米国にあると主張している。しかしベルリンに壁を作ったのは米国なのか? ハンガリー、ブルガリア、バルト三国、チェコを占領したのは米国だったのか? アフガニスタン国民の意思を押し潰しているのは米国なのか? ポーランド国境に軍を配備しているのは米国なのか? 健全な常識は、軍縮は双方の手を縛ることから始まると考えるはずだ。ところが平和運動家たちは一方を免責するのである。巡航ミサイルを非難してSS20については何も言わないのだ。つまりヘイグには石を投げてもブレジネフは卑屈な微笑で迎えるのだ。反核平和運動の実体は軽薄な知識人、売名家や政治的売りこみ屋、ナイーヴな市民たち、共産主義の同調者たち、何にでも反対する青年たちの混じり合いだ。」


反核主義者に対する論破がいいと思って引用しましたが、引用しながらここに非常に引っかかりました。

「私は社会主義者であるが、しかしそれも国の独立が保障される限りにおいてである。」

民主主義の恩恵に預かりながら社会主義を主張するメディア、言論人の図々しさを感じます。ソ連の権力に媚びながらソ連を非難しているフリをしているように感じます。本当に危機感はあるでしょうからこれが本音なのでしょうけど、ならば社会主義的主張は一切やめていただきたいです。上記のように言いながら、彼は中国共産主義を讃え、反イスラエルを主張しているのです。核心部分で米国を讃えていても、他の動きは反米なのです。ここが恐ろしいところです。これに騙される人も沢山いるでしょう。彼ら自身は簡単に共産主義を論破できるのです。何故なら偽善でやっていると分かっててやっている訳ですから。自分で自分の嘘を暴いているようなものです。大切なのは私たちがコミュニストの偽善に騙されないことでしょう。

引用しながら自分もまた引っかかるところだったと思いました。笑